日本では2014年2月22日となったPS4の販売。これがどんなスタートとなるかを予想していくためにPS3とはどんなハードだったのかを振り返るシリーズ。
PS2の大成功のあと、PS3発売に向けてソニーが新しいハードに課したお題目。その一つはBlu-ray(ブルーレイ)の普及にあったことでしょう。
PS3発売の2006年は、次世代DVD規格である、HD DVDとBlu-ray Disc の二つの規格が激しく争っていました。
当時まだ対応ソフト(映画などの映像コンテンツ)やプレイヤーが少しづつ発売され始め、消費者としては、どちらを選ぶべきか判断しかねる状態でした。
その昔、松下(現Panasonic)が率いるビクター製のVHSとソニーのベータマックスという激しい規格競争がありました。
機能的にはベータマックスの方が優れていたものの、コスト面や松下電器の強力な販売網などにより、ソニーのベータマックスは敗れます。
ソニーとしては、絶対に負けたくない次世代DVD規格争いです。勢いのあるゲーム事業でこれに決定打を打つべく、PS3のBlu-ray Disc 対応は必須の項目だったでしょう。
また、ソニーにはもう一つの野望がありました。
高性能な汎用MPU(CPU)の独自開発と普及です。
PS2に搭載されているプロセッサ(MPU)はソニーと東芝の共同開発のものですが、PS3を開発するに当たり、さらに強力なプロセッサの開発に本格的に乗り出します。
ソニーは5,000億円を投じて新しいプロセッサ工場を立ち上げます。プロセッサの名称はCell Broadband Engine(セル)となり、これがPS3の心臓部となります。
ソニーの夢 Cell Broadband Engine |
CPUなどのチップは大量生産が続けば続くほど効率化が進みコストは下がりますので、発売から5年半で全世界一億台を突破したPS2の後継機であるPS3にセルを搭載することで、セルの生産体制を充実させ、PS3以外のコンピューターにも搭載する青写真があったと思われます。
セルを動かすためのシステムはPS3のOSとして組み込んでいますから、PC用のCPUとして今もなお独占状態であるインテルや、同じく独占状態のWindousOSのマイクロソフトへの対抗として、ソニーがセルの普及を目論んでいたと思われます。
つまり、セルはPS3のために作られたCPUのようですが、その存在の意味はもっと大きな将来を描いた、ソニーの壮大な野望に基づいたチップだったのです。
多くの課題を持たされて発売にいたったPS3。次世代DVD規格争いにBlu-ray Discは勝利しますが、PS3自体の爆発的なヒットとはなりませんでした。
高コストなセルの搭載、無理やり詰め込んだPS2互換が生んだ高額な価格設定が無ければ。
単純なPS2の上位機種としてのみ存在するPS3が開発されていたらどんなハードだったのか。
気になるところです。
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